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東京高等裁判所 昭和39年(ネ)819号 判決

控訴人(附帯被控訴人) 出版輸送株式会社

被控訴人(附帯控訴人) 千葉敏行

被控訴人 千葉哲夫 外一名

主文

原判決を次のとおり変更する。

被控訴人敏行のその余の請求及び被控訴人哲夫及び同周子の請求は棄却する。

訴訟費用は控訴人と被控訴人敏行との間に生じた分は第一、二審を通じて十分し、その二を被控訴人(附帯控訴人)敏行、その余を控訴人(附帯被控除人)の負担とし、控訴人と被控訴人哲夫同周子との間に生じた分は第一、二審を通じ被控訴人らの各負担とする。

本判決第二項は仮りに執行することができる。

事実

控訴代理人は「原判決中控訴人敗訴部分を取り消す。被控訴人らの請求を棄却する。本件附帯控訴を棄却する。訴訟費用は第一、二審とも被控訴人らの負担とする。」との判決を求め、

被控訴代理人は「本件控訴を棄却する。原判決主文第二、第三項を取り消す。控訴人は被控訴人敏行に対し更に金二十四万六千六百四十三円を支払え。訴訟費用は第一、二審とも控訴人の負担とする。」との判決を求めた。

当事者双方の主張及び証拠は、次のとおり付加するほか、原判決事実摘示のとおりであるからこれを引用する。

被控訴代理人は「義足代金三十四万八千五百円は昭和三十六年四月現在の値段であるが、今後価格の騰貴することは経験則上明らかであるから、義足二十三・五足は現在一括して購入するものとして計算するのが正当であり、中間利息を控除するのは義足代を不当に安く評価するものである。また、断端形成手術代につき金十万円を限度として手術の都度支払うということでは、その解釈につき争が生じ、また、将来の給付ということでは当事者の事情の変化により現実に支払を受けられなくなる可能性があるので、即時の支払を求める。控訴人の後記主張は争う。親権者には過失の責がない。」と述べた。

控訴代理人は「松井盛は本件事故現場附近に四、五名の幼児が遊んでいるのを認め十分注意しなが時速二十キロメートルで徐行し、更に幼児の動静に応じて時速十キロメートルに減速して進行していた。ところが、進行方向右側の紙業日々新聞社事務所玄関から子供が一人突然走り出し車の前面を通り越そうとしたので、松井盛が急ブレーキをかけて通り越させブレーキをはずして進行し始めたところ、自動車の右側になにか触れたような気がしたのでバツクミラーを見たところ、人影がうつつたので直ちに停車してみたところ、被控訴人敏行がひかれていたのである。本件自動車はエンヂンの音が非常に高く人家も密集しているので、警笛を鳴らさなくてもその進行はわかるわけであつて、右の有様ではこれを鳴らしても本件事故は阻止できなかつたと思われる。従つて、松井盛には過失がなかつた。仮りに、過失があるとしても、三歳の敏行が単独で外出することを放置するのは母親周子の監護義務違反であり、監護義務は両親が協同して負うものであるから父親哲夫にもその責任がある。従つて、この監護義務の違反は被害者の過失として参酌すべきである。」と述べた。

証拠〈省略〉

理由

一、控訴人が本件貨物自動三輪車を所有し、松井盛が控訴人に雇われその貨物運送業務のため同自動車を運転し、昭和三十五年一月五日午後四時五十分頃東京都千代田区神田淡路町一丁目十三番地先道路(幅員約六メートル)を小川町方面からお茶の水方面に進行中、被控訴人敏行を荷台右側前部に接触させて転倒させ、右後車輪で右足をひき傷害を与えたこと、被控訴人哲夫及び周子が同人の両親であることは、当事者間に争いがない。従つて控訴人は自動車損害賠償保障法第三条但書の事由を証明しなければその責任を免れない。

二、控訴人は運転手松井盛には過失がないと主張する。すなわち、松井盛は本件事故現場附近に四、五名の幼児が遊んでいるのを認め十分注意しながら時速二十キロメートルで徐行し、更に幼児の動静に応じて時速十キロメートルに減速した。ところが、進行方向右側の紙業日日新聞社事務所玄関から子供が一人突然走り出し、自動車の前を通り越そうとしたので、松井が急ブレーキをかけてこれをやり過し、ブレーキをはずして進行し始めたところ、自動車の右側になにか触れたような気がしたのでバツクミラーを見たところ人影を発見したので、直ちに停車し調べて初めて被控訴人敏行がひかれたことを知つたのである。また、本件自動車のエンジンの音が非常に高く人家も密集しているので、警笛を鳴らさなくてもその進行に気付くはずであつて、右の有様ではこれを鳴らしても本件事故は阻止できなかつたと思われる。したがつて、松井盛には過失がないと主張する。しかし弁論の全趣旨により成立の認められる乙第十二号証の記載、原審証人松井盛、岡本功、手島千万樹、当審証人松井盛、手島千万樹の各供述は、成立に争いない甲第六、第十号証の記載に対比し措信し難く、他に右事実を認めるべき証拠はない。かえつて、右甲第六、第十号証、成立に争いない甲第五、第七、第九号証、原審証人稲垣治子の証言によれば、松井盛が本件道路(幅員約六メートル)の中央部を時速約三十キロメートルで進行中前方約十四メートルの紙業日日新聞社事務所玄関前に被控訴人敏行ら二、三名の幼児を認め、時速約二十キロメートルに減速し、そのまま十一、二メートル進行したところ、同被控訴人が本件自動車に気付かず友達のあとを追つて突然道路の反対側に向つて駈け出したので、松井盛が急停車の措置をとつたが間に合わず、前記のとおり同被控訴人と接触したことが認められる。ところで、幼児の習性として、連のひとりが道路を横断したときは、自動車の進行に気付かずこれに続いて道路を横断する危険のあることは、しばしば見受けられるところであつて、このような事故の起ることは容易に推測できるから、自動車の前方に幼児を認めた場合は、運転者はたえずその挙動に注意し、自動車の接近を知らせるとともに、これに対処できるよう徐行回避等適切な措置を講ずる義務があること明らかであつて、松井盛はかかる義務を怠り、漫然進行したのであるから過失の責を免れない。

三、負傷の部位程度について判断する。原審証人佐藤和男の証言により成立の認められる甲第二号証、成立に争いない甲第三号証の一ないし六、甲第八号証、右証人佐藤の証言によれば、被控訴人敏行が右足関節軋過創を負い、このため右下腿切断術(足関節以上で切断)を受けたことが認められる。

四、前記甲第八号証、原審における被控訴人哲夫及び同周子、当審における同周子の各本人尋問の結果によれば、被控訴人敏行が昭和三十一年九月二十日生の男子であつて、本件事故当時の年令が三年三月であり、通常の健康を有していたことが認められ、厚生大臣官房統計調査部発表の第九回生命表によれば、三才の男子の平均余命が六十一年余であるから、被控訴人敏行は六十一年余の余命を有すると認めるのが相当である。

五、被控訴人敏行の財産上の損害額について判断する。

(イ)  義足代

弁論の全趣旨により成立の認められる甲第一号証、前記甲第二号証、原審証人佐藤和男の証言によれば、同被控訴人が一生の間右下腿義足を必要とすること、児童福祉法及び身体障害者福祉法によつて支給される年令六才四月から六十才までの下腿義足の価格及び耐用年数が原判決添付第二表のとおりであること(甲第一号証十頁、三十二頁参照)、同価格は最低価格であることが認められるから、同被控訴人は同表の年令の間に義足代として少くとも同表と同額の金三十四万八千五百円を支出しなければならないとみなければならない。そして、各義足代金につき年五分の中間利息を控除した合計金二十万千八百五十七円が昭和三十八年一月十六日現在におけるその損矢の価額である。同被控訴人は将来物価の上昇することは経験則上明らかであるから中間利息を控除すべきでないと主張するが、将来の物価の変動は予想されないではないが、中間利息に相当する義足の値上りがあるという経験則が存するとは考えられないので、右主張は採用できない。なお、六才三月になるまでの義足代金については附帯控訴がないので判断しない。

(ロ)  断端形成手術料

原審証人佐藤和男の証言によれば、同被控訴人は義足を装用するために断端形成手術を少年の間に三回、成人して三回受ける必要があり、成人してからの手術には一回金一万三千円を必要とし、一生の間に全部で金十万円を必要とすることが認められ、各個の手術の時期は明らかにならないが、少年期の手術は十八才までに、成人してからの手術は五十才になるまで行われると推測される。したがつて少年期の手術料は十万円から成人期の三回の手術料合計三万九千円を差引いた金六万千円であるから、本件事故当時から十八才までの十四年九月間の年五分の中間利息を控除した金三万五千百七円(61,000÷(1+0.05×14・3/4)= 35,107円未満切捨)が少くともその現在価格であり、成人してからの手術料は金三万九千円であるから事故当時から五十才までの四十六年九月間の年五分の中間利息を控除した金一万千六百八十五円(39,000÷(1+0.05×46・3/4)= 11,685円未満切捨)が少くともその現在価格である。そして、断端形成手術は行わなければならないものであることは前に述べたとおりであるから、これに必要な費用は現に生じた損害であつて、現在賠償の請求ができるものと解さねばならない。でなければ、争があればその都度裁判上決定しなければならず、数十年先の控訴人の支払能力を担保する方法も認められていない今日、被害者に不測な損害を及ぼすおそれもある。そして、その現在価格は少くとも合計金四万六千七百九十二円である。

(ハ)  収入の損失

労働大臣官房統計調査部の調査による第十三回労働統計年報(八十頁及び百五十五頁参照)によると昭和三十五年度の三十人以上の労働者を常用する産業の常用労働者の平均月間現金給与額が金二万四千三百七十五円であるから、同被控訴人が前記のような身体障害を受けなければ、二十才から六十二才になるまでの四十二年間稼働して少くとも毎月右平均給与額の収入を得ることができたと認めるのが相当である。ところで、同被控訴人は足関節以上で右下腿を切断しており、この身体障害は労働基準法施行規則別表身体障害等級表の第五級に当り、同法により七百九十日分の平均賃銀の支給を受け得るものであつて、死亡による全労働能力を喪失し遺族補償として千日分の平均賃銀が支給されることと対比すれば、百分の七十九の労働能力の喪失があるとされていること明らかであるから、同被控訴人が少くとも三割の労働能力を喪失したと認められる。したがつて、四十二年間毎月平均給与額の三割に当る金七千三百十二円五十銭(年間金八万七千七百五十円)の割合により収入を喪つたとみられる。この四十二年間の喪失した収入から年五分の中間利息を複利の計算(ライプニツツ式)により控除すれば金百五十三万六百四十円となる(四十二年間の年五分の複利年金現価の倍率一七・四四三二を金八万七千七百五十円に乗ずる。円未満切捨。ホツフマン式計算により単利年金現価の倍率二二・二九三〇を乗ずると、金百九十五万六千二百十円で、同金員の年五分の利息は金九万七千八百十円となつて、右年間の喪失収入額を超過し、しかも元本は永遠に残る計算となり、不合理であるからホツフマン式計算方法は採用しない)。しかも右金額は二十才のときの現価であり、これから三才三月までの十六年九月の年五分の中間利息を控除した金六十七万八千九百四十五円(十六年の年五分の複利現価率〇・四五八一一と十七年の同現価率〇・四三六三〇の差〇・〇二一八一の三分の二の〇・〇一四五四を十六年の現価率から控除した〇・四四三五七を金百五十三万六百四十円に乗ずる。円未満切捨)が事故当時の現価である。(将来の得べかりし利益の喪失による損害賠償額のように、性質上正確に測定することの困難なものについては、このように正確に計算することは必ずしも必要ではなく、その概数を示せばたるものと考えるが、ここに一応その計算の結果を示す)

六、各被控訴人の慰藉料額について判断する。

被控訴人敏行が通常の健康体を有しながら右足関節軋過創を受けたため足関節より上部の下腿切断手術を受け一生義足を装用するのやむなきに至り、今後もたびたび断端形成手術を行わなければならなくなつたことは前段認定のとおりであり、これがため被控訴人敏行が過去現在において多大の精神上の苦痛を蒙り、長い一生の間に多大の精神上の苦痛を蒙るであろうことは想像に余りがある。原審における被控訴人哲夫の本人尋問の結果によれば、被控訴人哲夫が日本国有鉄道に運転士として勤務し一箇月約金三万円の収入を得ていることが認められる。他方、成立に争いない乙第二ないし第十一号証、原審証人岡本功、手島千万樹の各証言によれば、控訴人は営業用自動車約百台を有する相当大規模な運送業を営んでいること、治療費義足代等合計金九万七千百七十円を支払つたことが認められる。右各事実その他本件に現われたすべての事情を参酌し慰藉料額は被控訴人らの主張するように少くとも被控訴人敏行につき金三十万円を支払う義務があるものと認める。

次に被害者敏行の父母である被控訴人哲夫、同周子の慰藉料請求について考える。傷害を受けた者の近親者は、自己の蒙つた精神上の苦痛に対し民法七百九条、七百十条の規定により慰藉料の請求ができるものと解する考え方がある。しかしこう解すれば、七百十一条が特に死亡者の父母、配偶者及び子に慰藉料請求権を認めた理由を理解することが困難である。もし七百十一条の規定を制限的な規定でないと解して七百九条、七百十条の規定により被害者の近親者に広く慰藉料の請求権を認めることになれば、被害者が死亡した場合はもちろんのこと、被害者が負傷した場合でも、慰藉料請求権者は無限に拡がり、だれが慰藉料請求権者であるかは容易に知ることができず、示談するについてもその相手方が分らず、裁判に当つても、一々だれが請求権者かが問題になり、裁判後においても思わない慰藉料請求者がでてくるかも知れず、権利関係を甚だしく不明瞭ならしめる結果となる。被害者の死にも等しい結果を生じたときは、七百十一条所定の近親者に慰藉料の請求権を認めるとの見解は右のように無制限に拡がることを制限する利点はあるが、「死に等しい傷害」とはどういう程度の傷害をいうかは具体的場合にあたつて前同様適用上疑を生じ、請求権者が不明確であることには変りがない。少数の例外を除いて、多くの立法例や判例法は死亡の場合ですら、遺族には扶養請求権の喪失による損害等の財産上の損害の賠償を認めているだけで、慰藉料の請求権を認めていないことを思い合わせるとき、傷害の場合にまで、一般的に近親者に慰藉料の請求権を認めるのが適当かどうか疑問である。理論の精密は尊ぶべきことではある。しかし交通事故の激増し、その救済の迅速と訴訟の促進が要請せられる今日、請求権者がだれであるかを明確にし、損害賠償をある程度定型化して、救済の迅速と訴訟の促進を計ることもこれと同様に重要なことである。そればかりでなく、近親者の負傷の結果、直接自ら蒙つた損害ならば格別、幼児の不幸に対する親の苦痛は、幼児が現在及び将来にわたりじゆうぶん慰藉されれば、親もまた多くの場合慰藉される。この場合親と幼児の両者に慰藉料の支払を命ずれば、二重の賠償を許す結果になる。またわが家族共同生活の実態から考えても、幼児が慰藉料をもらつても、その金は親の手に入るのであつて、家族構成員を個別的に切り離して考えることは、わが家族共同生活の実態にそぐはず、徒らに法律関係を複雑ならしめるおそれがある。要は子に対して慰藉するにじゆうぶんの慰藉料の支払を命ずればたるものと考える。のみならず、被害者敏行の傷害は前記のとおり労働基準法施行規則別表の身体障害等級表の第五級に当るものであり、その他弁論の全趣旨に照し、同傷害をもつて死にも等しい結果を生じたものとみることは妥当ではないから七百十一条を適用又は準用することはできないと認める。したがつて、被害者敏行の父母である被控訴人哲夫、同周子の慰藉料請求は採用しないことにする。

七、過失相殺の主張について判断する。

前掲甲第五、第六、第七、第九、第十号証、原審証人稲垣治子の証言、原審及び当審における被控訴人千葉周子本人尋問の結果によれば、本件事故当時被控訴人哲夫が居宅で休養しており、同周子が敏行及び妹陽子をつれてふろに行く支度をしていたが、その間に敏行が陽子と本件現場附近にある紙業日日新聞社事務所に遊びに行き、事務所を出たが友達一人が同事務所に残つていたので陽子と事務所玄関のガラス戸越しに内部をのぞいていたところ、突然友達が玄関からとび出し本件道路の反対側に向つて走つて行つたので、これに続いて駈け出したこと、折柄本件自動車が時速約三十キロメートルで進行し、敏行らが右玄関前にいることを約十四メートル手前で認め約二十キロメートルに減速し十一、二メートル進行したところ、敏行がこれに気付かず突然右のとおり走り出し自動車の荷台右側前部に接触して転倒し右足甲部をひかれ前記創傷を受けたこと、現場附近は自動車の交通が相当あつて幼児が遊ぶには危険な場所であり、被控訴人周子は常々この附近で遊ばせないようにしていたことが認められる。右事実によれば、運転者の過失とともに、自動車の往来の多い本件道路に三才三月の敏行を遊ばせていた監護義務者たる両親哲夫及び周子は本件事故の発生につき監督義務違反による過失の責を免れない。そして、過失相殺において、被害者が弁識能力の十分でない幼児であるため被害者自身の過失を認めることができない場合にその監護義務者に過失があるときは、これを被害者側の過失として監護義務者たる父母に対する賠償額についてはもちろん、被害者たる幼児に対する賠償額の算定に当つても参酌することができると解すべきである。けだし、過失相殺は、加害者の過失のみを責めるわけにいかない場合に、被害者側の事情を参酌して賠償額を減少することができる制度であるから、被害者に弁識能力の有る場合とない場合とにつき区別を設ける根拠がないからである。また事実上も、幼児の名で損害の賠償を得ても現実には親の所得となり、こう解さなければ治癒療費などは親の名で請求すれば相殺され、子の名で請求すれば相殺されないという不合理な結果となり、家族共同体の現実に即しない結果となることは、前に述べたと同一である。

右のとおりであるから、被害者側の過失を参酌し、前段認定の損害額から二割を控除し、被控訴人敏行については、義足代金十六万千四百八十五円(円未満切捨)、断端形成手術料金三万七千四百三十三円(前同)、収入の喪失金五十四万三千百五十六円、被控訴人敏行の慰藉料金二十四万円以上合計金九十八万二千七十四円をもつて相当な賠償額と認める。

八、したがつて、控訴人は右賠償額の金員及び義足代を除く金員については本件事故発生後である昭和三十七年七月十七日から、義足代については原審口頭弁論終結の昭和三十八年一月十六日を現在として現価を認容したから、その翌十七日からそれぞれ完済まで民法所定の年五分の遅延損害金を支払う義務があるので、被控訴人敏行の請求は右の範囲において認容し、同被控訴人のその余の請求及び他の被控訴人らの請求は失当であるから棄却する。

よつて、右と異る原判決を変更し、民事訴訟法第九十六条第九十二条第九十三条第八十九条に従い、かつ、仮執行の宣言をつけるのを相当と認め同法第百九十六条により主文のとおり判決する。

(裁判官 千種達夫 渡辺一雄 岡田辰雄)

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